通りすがりの〇〇なホラーブログ

自作のオリジナル怪談がメインのブログです。短編のホラー小説や世にも奇妙な物語のような話の作品も書いていきたいと思います。

心霊

【通りすがりの怪談】怪其之二十六 ~残り香~

怪談 ~残り香~ 大学生の和司は自宅から歩いてすぐにあるコンビニでバイトをしている。今は大学が夏休み中のため、時給の高い夜間のシフトに入っていた。その日もバイトに向かうため、21時過ぎにマンション12階にある自宅を出た。夜だというのにひどい暑さ…

【通りすがりの怪談】怪其之二十五 ~友人~

怪談 ~友人~ 裕太は生まれつき心臓に持病があり、幼いころは度々発作を起こしては入退院を繰り返すような生活を送っていた。それは小学生になっても変わらず、発作を起こす度に学校を休んでいた。裕太はそのせいもあり引っ込み思案な性格で学校ではなかな…

【通りすがりの怪談】怪其之二十四 〜躓き~

怪談 ~躓き~ カウンター席しかないバーでオカルトが好きな常連客の3人がキリストの聖痕現象の真偽について話をしていたが、議論が尽きたのか、みな次第に口数が少なくなってきた。そんな時、常連の中で1番若い、皆から”坊ちゃん”と呼ばれる男が、「そう言…

【通りすがりの怪談】怪其之二十三 ~監獄~

怪談 ~監獄~ 手を離すと、後ろで鉄が重く軋む音がして今まさに通り抜けてきたばかりの扉が閉る。扉が閉まりきるときに金属がぶつかる甲高い嫌な音が鳴り響く。もう幾度となく聞いている音だが、その瞬間にはいまだに体がピクっと反応してしまう。扉の方を…

【通りすがりの怪談】怪其之二十二 ~似顔絵~

怪談 ~似顔絵~ ※この作品は有料となります。全文をご覧いただくにはご購入をお願いいたします。 女子高生の桜が通っている学校の近隣には大きなショッピングモールがある。そこには桜が好きなアイドルグループのショップがあり、同じようにそのアイドルグ…

【通りすがりの怪談】怪其之二十一 ~タトゥー~

怪談 ~タトゥー~ ※この作品は有料となります。全文をご覧いただくにはご購入をお願いいたします。 都内の大学へ通う沙耶は同じ大学の友人の紹介で莉里という女性と知り合った。莉里は沙耶とは別の大学に通っていたが、同い年でしかも同じミュージシャンの…

【通りすがりの怪談】怪其之二十 ~通過~

怪談 ~通過~ 「うわぁ!」時間は20時を過ぎていた。場所は高層ビルの5階フロア、人が少なくなったオフィスに山下の叫び声が響き渡る。斜め向かいの席に座っていた山下の上司の田中はその叫び声に驚いて、山下を見た。叫び声と同時に椅子から立ち上がった山…

【通りすがりの怪談】怪其之十九 ~輪廻~

怪談 ~輪廻~ ※この作品は有料となります。全文をご覧いただくにはご購入をお願いいたします。 由夏は時代の寵児と呼ばれる若きカリスマ社長の晴輝と1年ほど前から交際していた。由夏は高校を卒業後、家庭の事情で進学ができずに、昼間はカフェで夜は居酒屋…

【通りすがりの怪談】怪其之十八 ~案山子~

怪談 ~案山子~ 住宅街の一画に雑草が生い茂った空き地がある。広さ10坪ほどのこの空き地には所狭しと立ち並ぶ案山子の姿があった。 元々この辺りは、住宅地として整備される20年ほど前までは一面に畑が広がっており、当時はあちらこちらの畑に案山子の姿が…

【通りすがりの怪談】怪其之十七 ~顔~

怪談 ~顔~ ※この作品は有料となります。全文をご覧いただくにはご購入をお願いいたします。 カウンター席しかないバーでオカルトが好きな常連客の3人がエリア51の真偽について話をしていたが、議論が尽きたのか、みな次第に口数が少なくなってきた。常連客…

【通りすがりの怪談】怪其之十六 ~すりガラス~

怪談 ~すりガラス~ 小学6年生の修斗は、自宅に帰ると母が浮かない顔をしていることに気づいた。明るい性格の母にしては珍しいことだった。最近皆にとってつらいことがあっただけに心配だった。「どうしたの、なにかあった。」母は言おうか言わないかで悩ん…

【通りすがりの怪談】怪其之十五 ~右手~

怪談 ~右手~ 「じゃあ次は誰の番だ。」カウンター席しかないバーでオカルト好きの常連客3人が順番に怖い話や不思議な話を披露していたが、皆が持ちネタが無くなったのか、次に話そうとする人はいなかった。「じゃあ次はマスターで。」そう名指しで指名され…

【通りすがりの怪談】怪其之十四 ~近し存在~

怪談 ~近し存在~ 連日仕事に追われて多忙な日々を送る渡部。その日も新たな客先に挨拶に行くため、朝早くに自宅を出て最寄駅から電車に乗って客先の会社へと向かっていた。目的地の駅は様々な路線が乗り入れているターミナル駅で利用客が多い駅だった。電…

【通りすがりの怪談】怪其之十三 ~工事現場~

怪談 ~工事現場~ 悠真は手元にあったスマホを取ってその画面を見る。時間は23時を過ぎていた。朝から一日中外回りをしていたため悠真は仕事を終えたときには疲れきっており、19時ごろに家に帰るとそのままソファーに倒れ込んだ。寝るつもりはなかったが、…

【通りすがりの怪談】怪其之十二 ~留守番電話~

怪談 ~留守番電話~ 健太は自宅のベッドの上で横になり一人で眠っていた。突然枕元に置かれていたスマホから大きな音が鳴り響く。その音に驚き飛び起きた健太は、焦点の合わない目で壁にかけられた時計を見る。時計の針は2時15分を少しだけ過ぎたところをさ…

【通りすがりの怪談】怪其之十一 ~道連れ~

怪談 ~道連れ~ 初老の男は深い森の中にいた。男は自分が誰なのかがわからなかった。だが男は自分が何故ここにいるのかは知っていた。 鬱蒼とした森の中を、木漏れ日の微かな光が、こちらに近づいてくる人の姿を浮かび上がらせる。それは若い男だった。若い…

【通りすがりの怪談】怪其之十 ~夜道の少年~

怪談 ~夜道の少年~ 優奈は飲食店で働いているため、仕事が終わり電車で最寄りの駅へ着くころにはだいたい23時を回っている。駅から自宅までは歩いて10分くらいの距離で、住宅街の中の街灯のある道を通るため、それほど身の危険を感じることはなかったが、…

【通りすがりの怪談】怪其之九 ~助手席の女~

怪談 ~助手席の女~ 大学生の悠人は同じ大学の友人陽介と、大学から最寄りの駅に向かって歩いていた。陽介が最近に付き合い始めたオカルト系の彼女の結衣の話で二人は盛り上がっていた。「この前なんかデート中に駅のホームで急に霊が見えるなんて始まっち…

【通りすがりの怪談】怪其之八 ~毛~

怪談 ~毛~ 隆康は某企業の大阪支社に勤めているが、翌月から東京本社への転勤が決まっていた。そのため、隆康は週末の休みを利用して東京へと来ていた。目的は東京での住居を決めること。ただ明日には帰らなければならないため、出来れば今日中にある程度…

【通りすがりの怪談】怪其之七 ~山に居るもの~

怪談 ~山に居るもの~ 小学5年生の兄の陽大と小学3年生の弟の蒼大の兄弟は、夏休みに母に連れられて母の故郷へと遊びに来ていた。母の故郷は東北の山間にある小さな村だった。近くの大きな街までは車で30分かかるような不便な場所ゆえ若い人は村から1人また…

【通りすがりの怪談】怪其之六 ~自殺を止める者~

怪談 ~自殺を止める者~ ※この作品は有料となります。全文をご覧いただくにはご購入をお願いいたします。 夜になっても昼間の熱気の余熱のせいか、一向に気温が下がらない。風もなく体に纏わりつく生温い空気に、全身にじっとりと汗がにじみ出てくる。額を…

【通りすがりの怪談】怪其之五 ~老夫婦~

怪談 ~老夫婦~ ※この作品は有料となります。全文をご覧いただくにはご購入をお願いいたします。 都内近郊のベッドタウンとして開発されたG町。G町は都内からの交通アクセスが良く便利だと評判となり、駅の周辺に広がっていた森林を造成した宅地には、多く…

【通りすがりの怪談】怪其之四 ~白い服の女~

怪談 ~白い服の女~ 「鈴木くん、残業か」背後から声を掛けられた鈴木は、睨みつけるように見ていたパソコンの画面から目を離し、声がしたほうを見た。そこには、ぽっこり出た特徴的な腹をした沢田課長が、黒い手提げカバンを手に抱えてて立っていた。「は…

【通りすがりの怪談】怪其之三 ~踊る死神~

怪談 ~踊る死神~ 弥生は、風邪を拗らせて高熱を出した娘の碧を連れて深夜の救急病院へと来ていた。診断の結果、肺炎になりかかっていることがわかったため、碧はその場で即入院することになった。碧の父親の慎吾は、タイミングが悪く海外へと出張に行って…

【通りすがりの怪談】怪其之二 ~笑う影~

怪談 ~笑う影~ 篤が大学を卒業して勤め始めた会社は実家からでも通える場所にあったが、昔から一人暮らしに強い憧れがあった篤は、社会人になったのを期に念願の一人暮らしをすることにした。まだ新卒で給料は少ないため、選んだマンションは1DKで、築45年…

【通りすがりの怪談】怪其之一 ~歩行者用信号~

怪談 ~歩行者用信号~ 香織さん(仮名)が15年前に体験した話です。 私は当時に勤めていた食品会社の都内の本社から、某県にある自社工場へと転勤となりました。その工場はその県の中でも、都市部からかなり距離が離れた郊外にあり、交通の便も悪いことから…