心霊体験
怪談 ~雨宿り~ 「あー、降ってきやがった」フリーライターの貴志は、取材先からの帰途、激しい夕立に見舞われていた。傘を持ってこなかった自分を呪いながらも、しばらくどこかの軒下で雨宿りをしようと辺りを見回す。ふと、道の向こう側にある公園に目が…
怪談 ~プール~ 初夏の強い日差しが照りつける小学校で、6年生のプール授業が行われていた。プールサイドのコンクリートは熱を帯び、素足では火傷しそうなほどだが、子どもたちはそんなことも気にせず、水しぶきを上げて楽しんでいた。 やがて自由時間にな…
怪談 ~鉛筆占い~ 宵闇が教室を包み込む頃、慎太の鉛筆占いは始まった。それは最初はただの遊びだったはずだ。六つの面に「大吉」「吉」「中吉」「小吉」「凶」「大凶」と書かれた鉛筆をサイコロのように転がす。慎太は涼しい顔で言う。「これ、よく当たる…
怪談 ~再生~ 熱気を孕んだ八月の風が窓から吹き込み、一翔の部屋に散らばる漫画雑誌のページをめくった。高校の夏休み、同級生の一翔、勝、壮真、そして守は、惰性のように一翔の家に集まっていた。蝉時雨が容赦なく降り注ぐ昼下がり、どこか倦怠感を覚え…
怪談 ~雑巾~ 夕焼けが校舎を茜色に染める放課後。人気のない小学校の廊下を、小学三年生の修哉は一人、音楽教室に向かってトボトボと歩いていた。修哉のクラスでは掃除当番は男女のペアだったが、今日修哉のペアの女の子は風邪で学校を休んでいたため、音…
怪談 ~月光~ 男は一人山奥にいた。今夜は満月のはずだが、生憎空は厚い雲で覆われ一筋の月の光も見られない。足場の悪い中、男は必死にスコップを使い穴を掘り続けた。やがてポツポツと雨が降り始めたと思ったら、あっという間に大雨となった。ずぶ濡れに…