通りすがりの〇〇なホラーブログ

自作のオリジナル怪談がメインのブログです。怪談だけでなく不思議系の話も多数あります。掲載数がついに100話を突破!1話あたり5~10分で読めますので、是非ご覧ください。

ホラー

【通りすがりの怪談】怪其之四十八 〜願い~

怪談 ~願い~ 陽の傾きかけたグラウンドに、広夢が振るバットが乾いた音を響かせた。土埃を上げながら白球が弧を描き、フェンスを越えていく。それを見つめる広夢の瞳は、ダイヤモンドよりも輝いていた。 シングルマザーの貴子にとって、小学四年生の一人息…

【通りすがりの怪談】怪其之四十七 〜トレッキング~

怪談 ~トレッキング~ トレッキングが趣味の美雪は、その日も週末の休みを利用して、お気に入りの山へ向かった。いつもは仲間と一緒だが、今回は初めて一人で来ていた。紅葉が終わり、冬の足音が聞こえ始めた山は、昼なお薄暗く、冷たい空気が肌を刺す。午…

【通りすがりの怪談】怪其之四十六 〜イヤホン~

怪談 ~イヤホン~ 車窓から流れていく景色を見るでもなく眺めていた。いつもと変わらぬ風景。清太郎は通勤時、いつもスマホで音楽を聴いている。ワイヤレスイヤホンが耳にぴったりと収まり、外界の音を遮断する。自宅から最寄りの駅まではバス、そこから電…

【通りすがりの怪談】怪其之四十五 ~廃墟巡り~

怪談 ~廃墟巡り〜 大学生の智治は、大学の友人グループ、男3人、女3人の計6人で廃墟巡りをするのが趣味だった。彼らはスリルと好奇心を求めて、各地の廃墟を訪れていた。ある日、智治たちはいつものように廃墟巡りを計画した。目的地は、彼らが住む街から車…

【通りすがりの怪談】怪其之四十四 ~袋~

怪談 ~袋〜 隆一は10年前に父親を病気で亡くし、今は自宅である一軒家で母親と二人で住んでいる。だが母親は健康診断で癌が見つかり、今はその治療で入院をしているため、家には隆一だけしかいなかった。ある日、仕事を終えた隆一は最寄りの駅から自宅へと…

【通りすがりの怪談】怪其之四十三 ~救急車~

怪談 ~救急車〜 救急車の揺れと共に、男は意識を取り戻した。頭は鉛のように重く、全身は痺れたように動かない。耳に入ってくるのは、救急隊員の逼迫した声とけたたましいサイレンの音。「鹿島さん!鹿島さん!」救急隊員が必死に呼びかけている。しかし、…

【通りすがりの怪談】怪其之四十二 ~ペットボトル~

怪談 ~ペットボトル〜 ある一人のサラリーマンの男が、初めて訪れる場所へと足早に向かっていた。空は曇天、昼間にも関わらず周囲は薄暗く、いつ天候が崩れてもおかしくない。目的地のビルがある場所はそう遠くないはずだが、いつまで経っても辿り着かない…

【通りすがりの怪談】怪其之四十一 〜後悔~

怪談 ~後悔~ その家に静寂が訪れることはなかった。昼夜を問わず息子の耳に響く女の泣き声。姿は見えない、ただ確かにそこにいる気配と泣き声だけが息子の小さな体を悲しみに震え上がらせた。「またママが会いに来てくれている…」その声は、確かに記憶に残…

【通りすがりの怪談】怪其之四十 ~眼鏡~

怪談 ~眼鏡〜 美咲は長い間この日が来るのをずっと待ち望んでいた。やっと私も幸せになれる。美咲は純白のウェディングドレスに身を包み、幸せいっぱいの笑顔でバージンロードを歩いた。祭壇の前には、新郎の健太郎が待っている。健太郎は優しく微笑み、美…

【通りすがりの怪談】怪其之三十九 ~空き家~

怪談 ~空き家~ 今から30年ほど前の話。 キャンプ場に向かって走る車の中、助手席で地図を見ていた山本が、次の交差点を左に曲がった方がキャンプ場への近道だと言い始めた。その近道は鬱蒼とした森の中へと続いているように見える。車を運転している藤田が…

【通りすがりの怪談】怪其之三十八 ~満員電車~

怪談 ~満員電車~ 朝の通勤電車は、社会の縮図と言われる。人々は皆、疲れた顔で座席に身を委ね、あるいは吊り革に力無く掴まっている。私もその一人だった。毎日同じ時間に家を出て、同じ電車に乗り、同じ駅で降りる。そんな日々が永遠に続くかのように思…

【通りすがりの怪談】怪其之三十七 〜洞窟~

怪談 ~洞窟~ 梅雨の候、しとしとと雨が降りしきる中、私は友人の田中と二人で山奥へと繰り出した。目的は川釣り。都会の喧騒を離れ、静寂な渓流で時を過ごす。そんな穏やかな時間を過ごすはずだった。山道は次第に険しくなり、木々の間から差し込む光も薄…

【通りすがりの怪談】怪其之三十六 ~消える女~

怪談 ~消える女~ 自宅の最寄駅近くにある居酒屋でバイトを始めることにした大学生の智生。そのバイト初日の帰り道でのことだった。バイトが終わって店を出たのは23時、智生は自宅に向けて一人歩き始めた。自宅までは徒歩で15分ほどの距離だ。自宅近くには…

【通りすがりの怪談】怪其之三十五 〜負の遺産~

怪談 ~負の遺産~ 昔から、血のような異様な味がするような感覚が突如として襲ってくることがある。そして、口の中に生肉を噛み砕いたような吐き気を催すような味がしばらく残り続ける。成長するにつれ、徐々にその異様な味がすることはなくなっていった。…

【通りすがりの怪談】怪其之三十四 〜恐怖への誘い~

怪談 ~恐怖への誘い~ 雨音が激しく窓を叩きつける夜、家を抜け出した少年は自宅の近くに建つ今は誰も住んでいない古い洋館へと足を踏み入れた。傘は役に立たずに全身がずぶ濡れとなってしまっていた。体から滴る雨水で床を濡らしながら、持ってきた懐中電…

【通りすがりの怪談】怪其之三十三 〜助けを求める者~

怪談 ~助けを求める者~ 都内のデザイン事務所で働く佐々木は、通勤の不便さを解消するために一月程前に、現在住んでいる賃貸マンションへと引っ越してきた。佐々木が入居したのは12階建ての4階、角部屋の406号室だった。入居後しばらくは何の問題もなく生…

【通りすがりの怪談】怪其之三十二 〜ゴミ屋敷~

怪談 ~ゴミ屋敷~ 小学4年生の大夢の家の近所には地元では有名なゴミ屋敷があった。そのゴミ屋敷には誰も身寄りがいない老婆が一人で住んでいた。教師や親からは危ないからゴミ屋敷には近づいてはいけないと言われていたが、老婆は子供達には優しくお菓子や…

【通りすがりの怪談】怪其之三十一 〜ハシモトの記憶~

怪談 ~ハシモトの記憶~ 高校三年生の隆志のクラスは朝から騒然としていた。その理由は、先日の修学旅行で行った沖縄で撮影したクラスの集合写真にあった。生徒たちが前後数列に並んで撮ったその写真、後列の真ん中あたりに立っている男子生徒二人の間に人…

【通りすがりの怪談】怪其之三十 〜自殺の名所~

怪談 ~自殺の名所~ カウンター席しかないバーでオカルトが好きな常連客の3人がアブダクションの真偽について話をしていたが、議論が尽きたのか、みな次第に口数が少なくなってきた。そんな時、常連客の一人、40代くらいで身なりの良いスーツ姿、皆から”先…

【通りすがりの怪談】怪其之二十九 ~フリマ~

怪談 ~フリマ~ 今から20年以上も前のこと、当時真紀が住んでいた地域には都内でも有数の大きな公園があり、そこでは週末になるとフリーマーケットが開催されていた。フリーマーケットには常に多数の出店があり、掘り出し物目当てに集まる客も多く、いつも…

【通りすがりの怪談】怪其之二十八 ~写真~

怪談 ~写真~ 女子高生の美桜にはクラスメイトに紬という友人がいた。紬は口数も少なく大人しい性格のため、クラスの中ではあまり目立たない存在だった。ある日、休憩時間に紬が立ち上がった際にポケットから床に生徒手帳を落とした。ちょうど後ろにいた美…

【通りすがりの怪談】怪其之二十七 ~喫煙所~

怪談 ~喫煙所~ 都内にある大手食品会社の社員である田中。地方にある支店でトラブルがあり、その対応のため直属の上司である部長と共にその支店へと出張してきていた。支店は駅前に広がるオフィス街の一角にある雑居ビル内にあり、周囲を同じような雑居ビ…

【通りすがりの怪談】怪其之二十六 ~残り香~

怪談 ~残り香~ 大学生の和司は自宅から歩いてすぐにあるコンビニでバイトをしている。今は大学が夏休み中のため、時給の高い夜間のシフトに入っていた。その日もバイトに向かうため、21時過ぎにマンション12階にある自宅を出た。夜だというのにひどい暑さ…

【通りすがりの怪談】怪其之二十五 ~友人~

怪談 ~友人~ 裕太は生まれつき心臓に持病があり、幼いころは度々発作を起こしては入退院を繰り返すような生活を送っていた。それは小学生になっても変わらず、発作を起こす度に学校を休んでいた。裕太はそのせいもあり引っ込み思案な性格で学校ではなかな…

【通りすがりの怪談】怪其之二十四 〜躓き~

怪談 ~躓き~ カウンター席しかないバーでオカルトが好きな常連客の3人がキリストの聖痕現象の真偽について話をしていたが、議論が尽きたのか、みな次第に口数が少なくなってきた。そんな時、常連の中で1番若い、皆から”坊ちゃん”と呼ばれる男が、「そう言…

【通りすがりの怪談】怪其之二十三 ~監獄~

怪談 ~監獄~ 手を離すと、後ろで鉄が重く軋む音がして今まさに通り抜けてきたばかりの扉が閉る。扉が閉まりきるときに金属がぶつかる甲高い嫌な音が鳴り響く。もう幾度となく聞いている音だが、その瞬間にはいまだに体がピクっと反応してしまう。扉の方を…

【通りすがりの怪談】怪其之二十二 ~似顔絵~

怪談 ~似顔絵~ 女子高生の桜が通っている学校の近隣には大きなショッピングモールがある。そこには桜が好きなアイドルグループのショップがあり、同じようにそのアイドルグループのファンであるクラスメイトの友人星奈と月に2~3回くらいの頻度で通ってい…

【通りすがりの怪談】怪其之二十一 ~タトゥー~

怪談 ~タトゥー~ 都内の大学へ通う沙耶は同じ大学の友人の紹介で莉里という女性と知り合った。莉里は沙耶とは別の大学に通っていたが、同い年でしかも同じミュージシャンのファンであることが分かり、ライブに一緒に行くようになり次第に仲良くなっていっ…

【通りすがりの怪談】怪其之二十 ~通過~

怪談 ~通過~ 「うわぁ!」時間は20時を過ぎていた。場所は高層ビルの5階フロア、人が少なくなったオフィスに山下の叫び声が響き渡る。斜め向かいの席に座っていた山下の上司の田中はその叫び声に驚いて、山下を見た。叫び声と同時に椅子から立ち上がった山…

【通りすがりの怪談】怪其之十九 ~輪廻~

怪談 ~輪廻~ 由夏は時代の寵児と呼ばれる若きカリスマ社長の晴輝と1年ほど前から交際していた。由夏は高校を卒業後、家庭の事情で進学ができずに、昼間はカフェで夜は居酒屋でとバイトを掛け持ちして家計を助けていた。そんな由夏が働いているカフェを晴輝…