怪談 ~工事現場~ 悠真は手元にあったスマホを取ってその画面を見る。時間は23時を過ぎていた。朝から一日中外回りをしていたため悠真は仕事を終えたときには疲れきっており、19時ごろに家に帰るとそのままソファーに倒れ込んだ。寝るつもりはなかったが、…
怪談 ~留守番電話~ 健太は自宅のベッドの上で横になり一人で眠っていた。突然枕元に置かれていたスマホから大きな音が鳴り響く。その音に驚き飛び起きた健太は、焦点の合わない目で壁にかけられた時計を見る。時計の針は2時15分を少しだけ過ぎたところをさ…
怪談 ~道連れ~ 初老の男は深い森の中にいた。男は自分が誰なのかがわからなかった。だが男は自分が何故ここにいるのかは知っていた。 鬱蒼とした森の中を、木漏れ日の微かな光が、こちらに近づいてくる人の姿を浮かび上がらせる。それは若い男だった。若い…
怪談 ~夜道の少年~ 優奈は飲食店で働いているため、仕事が終わり電車で最寄りの駅へ着くころにはだいたい23時を回っている。駅から自宅までは歩いて10分くらいの距離で、住宅街の中の街灯のある道を通るため、それほど身の危険を感じることはなかったが、…
怪談 ~助手席の女~ 大学生の悠人は同じ大学の友人陽介と、大学から最寄りの駅に向かって歩いていた。陽介が最近に付き合い始めたオカルト系の彼女の結衣の話で二人は盛り上がっていた。「この前なんかデート中に駅のホームで急に霊が見えるなんて始まっち…
怪談 ~毛~ 隆康は某企業の大阪支社に勤めているが、翌月から東京本社への転勤が決まっていた。そのため、隆康は週末の休みを利用して東京へと来ていた。目的は東京での住居を決めること。ただ明日には帰らなければならないため、出来れば今日中にある程度…
怪談 ~山に居るもの~ 小学5年生の兄の陽大と小学3年生の弟の蒼大の兄弟は、夏休みに母に連れられて母の故郷へと遊びに来ていた。母の故郷は東北の山間にある小さな村だった。近くの大きな街までは車で30分かかるような不便な場所ゆえ若い人は村から1人また…
怪談 ~自殺を止める者~ ※この作品は有料となります。全文をご覧いただくにはご購入をお願いいたします。 夜になっても昼間の熱気の余熱のせいか、一向に気温が下がらない。風もなく体に纏わりつく生温い空気に、全身にじっとりと汗がにじみ出てくる。額を…
怪談 ~老夫婦~ ※この作品は有料となります。全文をご覧いただくにはご購入をお願いいたします。 都内近郊のベッドタウンとして開発されたG町。G町は都内からの交通アクセスが良く便利だと評判となり、駅の周辺に広がっていた森林を造成した宅地には、多く…
怪談 ~白い服の女~ 「鈴木くん、残業か」背後から声を掛けられた鈴木は、睨みつけるように見ていたパソコンの画面から目を離し、声がしたほうを見た。そこには、ぽっこり出た特徴的な腹をした沢田課長が、黒い手提げカバンを手に抱えてて立っていた。「は…